2017年8月22日火曜日

六 絶対主義均衡説という大間違い

約150年前から科学的歴史観のなかに一つの真理のように主張されたものである。私の学生時代でも、有名教授が「絶対主義均衡説、そこに誤りがあるわけではない」と、まず話の糸口にするという風潮があった。日本の歴史学で,講座派対労農派の対立というのがあり、ほぼ全員がどちらかの側であったときにでも、この均衡説についてはどちらも賛成という状態であった。しかしこれが間違いのもとであった。フランス革命前、つまり旧体制をフランス絶対主義というが、これに均衡説をあてはめると、貴族とブルジョアジーの勢力均衡のうえに、国王と官僚が独自の勢力を築くということになる。そうするとその官僚は領主であっては困ることになる。そこで領地を失ったという理論になる。理屈が先に立って事実をゆがめてしまったのである。実際には、大領主が権力の主要部分を握っていたのである。

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